DSGとは、ダイレクト・シフト・ギヤボックスのこと。MTのようにギヤミッションだが、
クラッチレスのツーペダル。過去のツーペダルとはシステムや考え方が大きく違い、
比較すること自体が無意味なぐらいすごい自動MTだである。
基本はデュアルクラッチ方式によるもので、この考え方は50年以上前にある。ただし
採用されていたのは戦車。
1980年代に入ってポルシェとアウディが、レーシングマシン用として使ったことがある。
このときにはかなり大型で、一般市販車に適用できる状態ではなかった。
ドイツ人が黙って、この考え方を見過ごすわけがない。時代と共にATに対する要求度は
高まり、トルクコンバーターを使用した、プラネタリーギヤ方式のATを採用するものの、
伝達効率、磨耗部品、ロングライフからすると、やはりMTにはかなわない。
ごく普通のギヤ配列と乾式単板クラッチによるMTを、そのまま自動化したものでも、
ロングライフや伝達効率では、MTそのものであるが、シフトフィーリングはトルコンATに劣る。
これを何とかしなければ、と考え出されたのが、デュアルクラッチと二重構造のインプットシャフト
に出力軸を2本持つ、VW(フォルクス・ワーゲン)のDSGである。
実はこのミッション、すでに2003年夏にアウディTTに採用された状態で、日本へ上陸しているため、
アウディが開発したと思われるが、そうではなくVWが開発して、すでに欧州では先代ゴルフR32用
として販売されていたもの。
DSGはオートマチックモードとマニュアルモードがあり、どちらを選択しても、極めて素早く、
それでいてスムーズにシフトを完了する。それに加えて、シフトの際に加速感が途切れない、
と言う点で同様なシステムと比較にならない。 これを可能としているのが、2組の湿式多板クラッチと
二重構造のインプットシャフト、2本のアウトプットシャフトを持つという、独創的なアイディアによるものだ。
2組の湿式多板クラッチには、それぞれ受け持つギヤが決められている。クラッチ1は1・3・5速とリバース、
クラッチ2は2・4・6速ギヤで、それぞれがギヤセットとした状態になり、まるでふたつのギヤボックスを
組み合わせたような構造となっている。エンジントルクは、ふたつのギヤセットのいずれかを経由し、
ファイナルギヤに伝達される。そして、2組あるクラッチのどちらを接続するかによって、選ばれる
ギヤセットが決定する。クラッチは同心円上に内側と外側に配置される。クラッチ1はインプットシャフト1
に繋がり、1・3・5速とリバースのアイドルギヤを常時回転させている。クラッチ2はインプットシャフト2に
接続されており、2・4・6速ギヤを常時回転させている。
DSGの作動では、走行中は一方のギヤセットでトルクが伝達していると、残るギヤセットは次のシフトに
備えてあらかじめギヤをセレクトしておく。しかし、このギヤセットにあるクラッチは、切れた状態であるため、
シフトは難しくないし、動力も繋がらない。次のシフトに合わせ、ギヤをセレクトしてスタンバイしている、
と言うのがDSGの特徴。シフトが必要な状況になると、それまで使用していたクラッチを開放(切る)しつつ、
次のギヤセットを受け持つクラッチを繋いでいく。この2組のクラッチのやりとりは、僅か3〜4/100秒である
為に駆動トルクが抜けるような感じはない。
シフトチェンジでは、シフトアップを行うべきか、シフトダウンなのか、コンピューターは見極めを行う。もし、
コンピューターが予測していなかった状態と異なるギヤを、ドライバーが選択したときには、改めてギヤを
選択し直し、そのギヤを受け持つクラッチを接続する。
このように理想的なシフトをするMTベースのオートマチックは見たことがない。日本市場にも数多く導入
されるだろうから、今後どのような評価を受けるか、シフトフィーリングばかりでなく、耐久性、メンテナンス
など各方面からの答えが楽しみである。






DSG Consideration
参考・出典 : Auto Gallery Net