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訴訟を起こすに当たり、最初にぶつかる問題は法律用語でしょう。告訴、告発、提訴、起訴、公訴・・・本当に紛らわしい言葉です。 このページでは、訴えの内容や進行の段階で呼び方が変わったりする、紛らわしい用語を中心に簡単に説明したいと思います。 言葉で説明すると非常に分かりづらいので、流れを基準に表にしてみました。 ※事件の内容、捜査機関の対応・判断等により流れが大きく変わる場合もあります。用語説明用の表としてご理解下さい。 ※素人の知識によるものなので、誤りがあるかもしれません。 <刑事訴訟の流れと用語> |
| 刑事訴訟 | 流れ | 相談 | 被害届 | 告訴 (受理) |
聴取 取調べ 捜査 |
検挙 (逮捕) |
送致 (送検) |
送致 (告訴) 受理 |
聴取 取調べ 捜査 |
起訴 | 公判 | 判決 |
| 管轄 | 警察 | 警察 (検察) |
警察(検察) | 警察 | 検察 | 検察 <裁判所> |
裁判所 | |||||
| 訴え | 刑事 告訴 |
公訴提起 公判請求 <略式起訴> |
(刑事裁判) <略式命令> |
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| 加害者 | 被 告訴人 |
被疑者(容疑者) | 被告人 | |||||||||
| 被害者 | 告訴人 | 参考人 | ||||||||||
| <民事訴訟との違い> 民事訴訟では警察・検察の介入は一切なく、当事者間での争いで、いきなり被害者vs加害者で裁判が始まります。 つまり、刑事訴訟における検察の起訴(民事では提訴)がスタートラインで、それ以前の段階は存在しません。 言葉は以下のように変わります(刑事訴訟 → 民事訴訟) ・ 起訴(公訴提起) → 提訴(私訴提起?) ・ 裁判で訴える方: 検察官(国) → 原告 訴えられる方: 被告人 → 被告 ・ 公判(刑事裁判) → 口頭弁論(民事裁判) <正式起訴と略式起訴> 双方とも起訴には違いありませんし、検察の処理/処分名も「起訴」で統一されているようです。 その上で正式起訴(通常”正式”は省略されます)と略式起訴が厳然と区別されるのには、相応の理由があります。 正式起訴が、地裁以上の裁判所で公判(裁判)が開かれることに対し、略式起訴は、公判が開かれることなく簡易裁判所の 判断で、処分が決められます。正式裁判での処分決定は「判決」、略式起訴での処分決定は「略式命令」となります。 誤解を恐れずに書くと、 略式起訴は、検察があまり重くない犯罪と認識した事件(犯罪者)に対して為す、事件処理であるとも言えます。 <相談、被害届> 相談は相談で(あたりまえですが)それ以上の何ものでもありません。 告訴を前提としている(加害者に刑罰を望んでいる)なら、この部分を省く場合が多いと思います。 被害届は、通常、警察に行って事件の詳細を説明し作成して貰う届けです。 被害届を出したら警察は捜査に着手する・・・ これは間違いです。 捜査するに値する事件の場合、警察自ら捜査を始めることも少なくないのですが、基本的に被害届は単なる届けであって、本来 は捜査要請の手続きではありません。被害届に基づいて警察が捜査を開始しなければならないという義務もありません。 捜査を積極的に要請するには、告訴の手続きが必要になります。 ※ストーカー被害に遭っていた知人が、被害届を所轄署に提出しようとしたことがありましたが、その場で却下されました。 「まだ、その段階ではない」というのが警察の判断でした。被疑者が「殺す」などという脅迫さえ行っていたにも関わらず です。被疑者はその後、被害者を襲い(脅迫、器物損壊)逮捕されました。 警察は、被害者から被害届の申し出があった場合「受理しなくてはならない」とされています(犯罪捜査規範第61条)。 しかし所轄署は、この規範を無視したのです。一つの事例として心に留め置きください。 警察では被害者(加害者も)が話した内容を元に「供述調書」を作成します。そして最後に内容を確認してサインするよう求められ ます。このとき、安易にサインしない方が良いと思います。作成した警察官の文章力に負うところも大きいのですが、結構大雑把 であったり、ニュアンスが違って書かれている場合などがあります。そう言う場合は必ず訂正を求めて下さい。 事前に話した内容を 覆すような訂正は認められにくいと思いますが、十分納得できる内容にしておくことが重要です。 調書は後の証拠として使われます。 供述者が調書の訂正を求めた場合、警察はそれに応じなければならない定めとなっています(犯罪捜査規範第179条)。 <告訴> ![]() 告訴状と証拠類等を警察又は検察に提出し、加害者を刑事裁判で裁いて貰えるよう積極的に捜査を要請する手続きです。 <相談の延長線上で、告訴意志を捜査機関示すだけでも正式な告訴です。告訴状が必須ではありません。> 告訴をしても必ず受理して貰えるわけではありません。犯罪性を問うに値しない事件であったり、証拠が不十分な場合は不受理 となります。刑事訴訟は公の利益を守るための訴訟ですから、刑事事件として裁けないと判断された事案については民事訴訟に 場を移して争うこととなります。 <本来、告訴に関し不受理(受け取り拒否)という言葉は存在しませんが、現実には拒否されることもあります。> 告訴は、起訴があるまでは告訴人により撤回できますが、一度撤回すると二度と同じ事件について告訴することはできません。 ・告訴状を提出するところ 警察・検察いずれでも受け付けて貰えます。しかし、捜査を専門にする職員(刑事)が多い警察に提出し捜査を要請する 方が現実的とも言われます。検察に提出しても、初期捜査は検察指示で警察がする場合が殆ど(刑訴法193条)です。 次に「どこの警察署に提出するのか」ですが、特には限定されていません(犯罪捜査規範第63条)。しかし、実際の捜査 を考慮すると「犯罪が行われた現場を管轄する警察署」または「加害者の居住地を管轄する警察署」になります。 遠くの警察署に提出しても、実際の捜査は現地の警察が行うことになるので時間の浪費にしかなりません。捜査が遅く なるだけでしょう。特別な事情がない限り、快く受け付けて貰えるとも思えません。 ※「弁護士を雇って、直接検察へ告訴した方が警察でのセカンドレイプを防げる」という意見もあります。 逆に「無理解な検察官によって余計心を傷つけられた」という経験談も聞いています。 ※警察に被害届を出し告訴意思を示したにもかかわらず、真剣に取り合って貰えず、弁護士を介して改めて 検察に告訴状を提出したというお話も伺っています。検察は真摯に話を聴いてくれ、その後捜査は順調に 進んだということです(結果は不起訴)。 この場合のように、「相談」段階なら、警察の対応によっては(警察に見切りを付けて)検察に訴えるという 方法を選択した方がベターかも知れません。ただし、捜査や訴訟の進み具合によっては、 「警察が嫌い」「警察の対応が不満」というだけで、安易に乗り換えできないことを考慮ください。 結局 ”要は担当になった警察官、検察官次第” で、難しいところです。 <犯罪捜査規範第63、64条部分に書いてあるメモも参考にしてください> ・告訴状に記載する内容 数多くの専門家のサイトにサンプルが掲載されているので割愛します。 ・告訴状の作成 作成自体はそう難しいものではありませんが、とにかく法律に基づいて相手を裁くことを目的とする文書。いい加減なもの は出せません。自信がなければ、専門家(行政書士、司法書士、弁護士)に依頼する方法もありますのでご検討下さい。 しかし、それなりの手数料が掛かります。専門家に作成を依頼する場合、あくまで個人的な意見ですが、金額の高い安い で選択するのではなく、後に民事裁判を依頼することを前提に信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。 とは言え、ご自身でできるなら自分でやった方が安上がり(タダ)ですし、納得できると私は思っています。 書くポイントは、 犯罪に至る経緯と犯罪事実の概要、そして事件に関係するその後の状況や、被疑者に対する心情を 「明確・端的に」書くことだと思います。まずは、冷静に事実のみを記載し、書いた本人にしか解らない 曖昧な表現や、怒りの表現を散りばめて書かないことも重要でしょう。読み手に事実が見えにくくなります。 ※刑事訴訟では、「事実」だけが唯一の重要判断材料なのです。 「いつ何があってどうなったのか・・・」 その部分をしっかり記載しなくてはいけません。 自分の心情や、犯人に対する思い・・・ そして厳罰を求める意思表示は、最後の方にまとめて「しっかりと」書けばいいと思います。 不備な点やお かしい点は警察が指摘してくれると思いますので、修正し再提出することも可能かと思います。 (それも内容・頻度 程度問題ですが・・・ なお、警察ではなく検察に提出する告訴状は、行政書士代書不可です) どうしても自信がない場合は、「専門家に」ですね。 でも、草案はご自身で作って欲しい・・・ 自分の思いを込めて、手書きでもいいから書いて、想いを弁護士に伝えて欲しい と私は思っています。この闘いは自分自身のための闘いですから。 ・添付する証拠 どれだけ採用されるか分かりませんが、証拠は多い方が良いことには変わりません。しかし告訴に当たって添付する証拠 は、取捨選択し、告訴状に記載した内容を補うものにした方が証拠として説得力があると思います。逆に言えば、証拠と 記載内容をリンクさせることも一つのポイントになると考えています。 ※事件に関係する会話記録(メール)も重要な証拠となりえます。機会がある毎に録音・記録しておいてください。 相手の事前了承無く会話を録音することは違法ではありません。後々のために是非やっておいてください。 当事者双方の了承を得ない「盗聴」とは区別してお考え下さい。 ※性犯罪事件では、その時着ていた衣類等も証拠となります。汚れや破けは事件時の状況を証明する証拠となり得 ますので、捨てずに取っておくことが後に繋がる場合も少なくありません。感情にまかせ破棄したりすると、 後で後悔するかも知れません。どんなに悔しくても保存されることをお勧めします。 その他についても、証拠となり得るものは破棄せずに保存しておいてください。 破棄はいつでもできます。 警察や検察の捜査(努力)を、過信しすぎないで頂きたいと思います。 捜査のお膳立ては、できる限り被害者でやっておくべき・・・ それが私が今回の刑事訴訟で得た答えです。 <会話録音に使用する機材> デジタル録音機材は 音声の加工ができるからダメ という意見を聞いたことがありますが、私は小型の ICレコーダーを使用しました。内容改ざんがない限り、デジタル録音が無効とされることは無いようです。 録音可能時間が長いこと(5時間以上)、作動音がしないこと、何よりも小型であることが最大の利点です。 会話がうまく録音できるのはステレオ録音タイプ。左右方向の音を別々に拾うので、モノラルタイプよりクリアに 録音できるようです。また、後の加工(音量の圧縮など)、ファイル移動(パソコンで扱う/CDにコピー)などを 考慮すると、MP3などパソコンで扱えるファイル形式で録音できるタイプをお勧めします。 多くの機材が独自の圧縮ファイル形式で保存するようですので、ご用意する際はお確かめください。 ※独自形式の録音タイプでも、専用(添付)のソフトを使えばMP3などと同じように扱えますが、汎用性に 欠けるでしょう。逆に録音時間はMP3録音形式機材よりも長いようです。 これら機材の実売価格は \10,000前後〜\13,000程度 かと思います。 <会話録音は証拠となり得るか?>・・・最高裁判決より抜粋 @「著しく反社会的な手段を用いて、人の精神的肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によつて 採集されたものであるときは、それ自体違法の評価を受け、その証拠能力を否定されてもやむを得ない ものというべきである。」 A「話者の同意なくしてなされた録音テープは、通常話者の一般的人格権の侵害となり得ることは明らかで あるから、その証拠能力の適否の判定に当っては、その録音の手段方法が著しく反社会的と認められるか 否かを基準とすべきものと解するのが相当であり、単に同人(関係者)ら不知の間に録取したものであるに とどまり、いまだ同人らの人格権を著しく反社会的な手段方法で侵害したものということができない場合、 録音テープは、証拠能力を有するものと認めるべきである。」 つまり、「著しく反社会的な方法によって録音されたものでなければ証拠となりうる」です。 そして、内容の改ざんがない限り、デジタル録音の証拠能力が否定されるものではないと言えます。 <会話録音−秘密録音−は合法か?> 当事者以外の第三者が、当事者双方の了承を得ずに行うのが「盗聴」です。 これに関しては該当する法律があり、違法性が極めて高いことは言うまでもありません。 ところで、当事者一方が他方の当事者に了解を得ず行う録音はどうなのか・・・ 気になるところです。 盗聴とは異なり、このような録音を明確に規定/規制する法律はありません。 その都度録音された状況などを鑑み、関連法を引用し判断されるようです。 このような録音は「秘密録音(厳密には”秘密録音のうちの当事者録音”)」と呼ばれ、これまでに違法とされた 判例は無い模様です。−−− これが違法なら、いたずら電話の録音も違法になる可能性がありますよね。 捜査機関における事情聴取の秘密録音も違法にはならないと思われますが、 どんな場合でも、予め「録音不可」が取り決めされている、または双方が認めているにも拘わらず録音した 場合は、債務不履行などの不法行為として違法性が問われることになりそうですので、注意が必要でしょう。 また、録音を外部に漏らすと、名誉毀損などの罪に問われる可能性もありますので、注意すべきでしょう。 証拠と捜査、訴訟について 捜査機関自らが確定的な証拠を保持し、それを元に捜査が進められている場合は問題ありませんが、被害者の告訴など によって捜査が始まった場合で、まだまだ事実確認に時間を要するような場面では、証拠があるからと言って、むやみや たら、被疑者側に告訴人側が持っている証拠を示すことは得策とは思いません。 勿論、捜査機関に対しては、できる限りの証拠を早急に示す必要があります。捜査が進むに連れ、被疑者側は様々な抵 抗を試みてくるでしょう。その時、告訴人側は「我々にはこんな証拠があるんだ」と被疑者側に示し、その抵抗を打ち砕こう としがちです。私は、そのような行為を賢明ではないと考えます。 被疑者側は、告訴人側がどのような証拠を持っているのか知りたがっています。それを知ることにより、次の手・対応策を 考えたいのです。被疑者側の抵抗に対し、不要に心動かされることなく、彼らの手の内にはまらないようにお気をつけいた だきたいと思います。被疑者側には「告訴人には(決定的)証拠がない」と思わる・・・「知らぬが仏」です。 告訴人側が直接被疑者側に証拠を示すのは、彼らに言わせるだけ言わせておいて彼らの嘘を積み重ねさせ、一気に崩 す時でしょう。そうすれば、被疑者側の理不尽な仕打ちを随時捜査機関に訴えることも出来ますし、被疑者側の嘘も一層 明かになって、捜査から起訴、公判に至るまで、告訴人側に有利に進めることが出来ると思うのです。 被害に遭ってしまい、加害者を罰して欲しいと思ったら、まず警察に捜査の要請をすることになります。 被害届を出すところまでは多くの人が知っているところですが、その後の警察の対応についてはあまり知られていません。 「被害届を出したのに、警察がなかなか捜査を進めてくれない」・・・ 少なくない不満です。 被害届を出すだけで正式な捜査要請にならないことは既に記しましたが、だからといって警察から告訴状の提出を勧められるこ とは稀でしょう(警察が告訴手続きをとるときは、被害者の事情聴取に基づいて「告訴調書」を作成し、告訴状の代わりとします)。 それには少なからず警察の事情や思惑が関係していると思われます。 そもそも告訴とは、どういう風に行うものか・・・ 告訴は、書面(告訴状)または口頭で行う。口頭による告訴の場合は、司法警察員(一般的には巡査部長以上の警察官)また は検察官の面前で直接意思表示を行い、告訴調書を作成。 書面で行う場合は、告訴状と題する書面を司法警察員または検 察官宛てに作成し、持参または郵送する。 現実的には、告訴状を作成し警察に持っていくのは少数で、多くの場合は口頭による告訴の形を取っていると思います。これが 被害届から告訴に進むパターン。ここの問題点は、被害者から積極的に告訴の意志を表さない限り、警察はいつまでも被害届の ままで留め置けるという点です(犯罪捜査規範では、告訴意思があれば必ず受理しなくてはいけない決まりとなっています)。 「疑わしいという段階だから、現在捜査・確認中」などが警察の言い分となるでしょう。かなりの部分で、警察のペースで事が進め られるのです。このような対応により、”桶川ストーカー事件”に代表されるような重大事件が発生しているという事実もあります。 他方、書面(告訴状)による告訴だとどうなるのか。 被害者から告訴状が提出された場合、警察は受け取り拒否できないことになっています(現実には受理を拒否する場合も・・・)。 そして、告訴状を受理した場合、捜査を尽くす義務を負うものものともされています。さらに、迅速な捜査を実施し、書類を検察に 送る(送致、送検)ことが義務づけられています。つまり、警察にとってはある意味捜査に強制がかかることになります。 警察としては、あまり無闇に告訴を受け付けたくないと言うのが本音ではないかと思います。ですから、告訴の意志を被害 者が 示したとしても、告訴に難色を示したり受理を渋ったりすることがあるのでしょう。 強い意志で加害者を罰して欲しいと望むなら、告訴状提出による告訴をされることを個人的にはお勧めします。 警察が作成する告訴調書はそれまでの聴取を元にしているとは言え、被害者自身の想いと決してイコールの内容ではありません。 実際に読めば「何か物足りない」気分になるのではないかと思うのです。 ※異なる視点での刑事訴訟と民事訴訟の違い 裁判所に訴える段階において、刑事訴訟と民事訴訟では訴える基準(起訴では罪状/提訴では賠償額等)の決め方に 決定的な違いがあります。 ・ 刑事訴訟(起訴): 検察官は、裁判官が有罪判決を下すだろうと思われる罪を考え、それを基準に罪状を決めます ・ 民事訴訟(提訴): 原告(弁護人)が、思いつく最大の内容(賠償金等)を訴状に盛り込んで訴えます 刑事訴訟の結論は、基本的に「シロかクロ」しかありません。一言で言うと、無罪か有罪かの二者択一です。 それ故検察は、「真っクロ」と判断しない限り起訴しないと言う現実があり、これが被害者を苦しめる要因にも なっています。「公判が維持できない」とうのが彼らの言い分です。つまり「勝てない(有罪にできない可能性が高い)」 という判断です。さらに「疑わしきは被告人の利益に」という大原則が、それをさらに助長していることも否めません。 民事訴訟の場合は、より「心証主義」に基づいた判断が下されます。シロに近いグレーから、クロに近いグレーまでを 結果として判断することになります(異論もありますが)。 <例えば刑事訴訟では> 「後ろから突き飛ばされた・・・ 怪我で済んだが、倒れ方が悪ければ頭を打って死んでいたかも知れない、だから殺人未遂で起訴する」 などという訴えは、走っている車の前などに突き飛ばしていない限り、無茶な起訴と考えるのが普通です。 例え起訴しても、裁判所は「殺人未遂罪には相当しない」と判断し、無罪となるでしょう。 しかし、傷害罪、過失致傷罪なら裁判所も「間違いない」と判断し、有罪にすると思われます。 殺人未遂罪で起訴したものを、過失致傷罪として判決を下すことは基本的にありません。 <訴因(罪状)変更によって、過失傷害罪として判決を下すことはあります。> <一方民事訴訟では> 「後ろから突き飛ばされた・・・ 怪我で済んだが、傷が残り外に出るのが躊躇われる。一生治らないかもしれないので慰謝料として1億円支払え」 などという訴えは、特別珍しい事例ではありません。裁判所は原告、被告双方の言い分を聞いて、法や過去の判例、 一般的な常識などを考え併せ、適当と思われるところ(例えば「1億円は無茶で10万円が妥当」とか)の判断を下す のです。裁判の進行にあたり、刑事訴訟ほどの証拠も ”裁判所は” 必要としません。 (この「適当」が本当に適当か、「常識」が本当に常識かどうかの議論はあります) ※刑事訴訟システム(法律・制度・捜査員の判断基準など)の問題点 それ故、性犯罪に関わる刑事訴訟では、犯罪が強姦に相当するか、PTSDが致傷罪にあたるかなどに対し、検察が シビア になっているという面もあるようです。 「裁判所で認められない可能性が高いなら、最初から諦める(「公判が維持できない」と表現)」・・・そんな感じでしょうか。 後のページでも言及していますが、ここが犯罪被害者の突き当たる一つの大きな壁となり、被害者の前に立ちはだかって いると思います。実際の被害状況に応じた罪状で起訴してくれない・・・門前払いを食らわされた格好になり、更なる被害 (悔しい思い)を負わされる結果となってしまうことも、決して少なくありません。 違う見方をすれば、刑事訴訟は起訴する罪状自体が加害者に優しく、犯罪の実体や被害者の実状を半ば無視した展開に なっている場合が少なくないと思っています。刑事訴訟において、有罪判決が下される率が限りなく100%に近い実体が それを物語っています(逆に、この有罪率の高さが暗黙の了解となって、冤罪をつくりだしているという議論もあります)。 昨今、裁判員制度の採用や、被害者の公判への積極的参加を認める方向での刑事訴訟法の改正がなされ、 一見、被害者擁護が進んでいるかの如くに見えますが、それらは全て、正式起訴が為されて後の話です。 捜査機関の怠慢や「慣例」によって、犯罪者を正式起訴して貰えなかった被害者には、無縁のものなのです。 検察官が処分を決める以前の段階に関して、被害者擁護のための「改正」は殆ど何も為されていないのが現実です。 <告訴と告発の違い> 簡単に言えば、 告訴は、直接の被害者やそれに代わる告訴権者が、犯罪の事実を捜査機関に示して訴追して欲しいと訴えること。 告発は、当事者や告訴権者以外の者が、犯罪の事実があると考え、捜査機関に訴追して欲しいと訴えること です。 告発は基本的に誰にでもできるもので、直接利害関係のない者(団体)が 「○○は犯罪を犯しているから捜査して罰して欲しい」などと、捜査機関に訴えるのが典型的なパターンです。 最近では 内部告発 の例が多くなっています。 <裁判は公開> 裁判は、刑事、民事を問わず公開されています(誰でも傍聴できる制度になっています/家庭裁判所の審判は原則非公開)。 それは、裁判が公正に行われているか、裁判官が職務を全うしているかなどを、不特定の国民が監視できるようにとの目的を 持つ制度で、性犯罪被害者にとっては非常に気になる部分です。 「起訴された後、担当検事に被害者氏名等を裁判内で出さない事をお願いすれば、そうしてくれますし、 裁判内で陳述したい場合、陳述書という形で、裁判官に自分の思いや事実等を伝える事ができます。」 平成20年末に施行される改正刑事訴訟法では・・・ 被害者が裁判官の許可を得て、審理に出席し検察官の横に座ることができ、被告人質問のほか、情状に関する証人尋問、 事実関係に関する意見陳述、求刑などを行える<殺人や強姦、業務上過失致死傷などの重大事件が対象>。 その他、公判で被害者の名前を匿名にする措置が条文化されるようです。 |