刑事訴訟、民事訴訟、調停 − 示談           トップページを表示

このページでは訴訟や調停、それらの関係・・・ 注意すべき事項等について述べたいと思います。
素人知識なので、あくまでご参考ということで・・・。



まずは、二つの訴訟について。
<刑事訴訟>   
 
 
一つは、加害者(犯罪者)を国家権力で罰するための刑事訴訟。加害者に懲役刑や罰金を科すことがこれに当たります。
 これによって被害者が利益(賠償金等)を得ることはありません。
 警察または検察の独自判断で手を付けることもありますし、被害者の訴えがあって初めて警察や検察が動く場合もあります。
 単独犯による猥褻行為・強姦などは、基本的に被害者の訴えがない限り警察は動きません(そう言った犯罪を
親告罪と言い
 ます/刑法第180条)。警察や検察が動き出したら、訴訟に関わる手続きは国家対加害者の構図で進められ、被害者は概ね
 蚊帳の外で、被害者は単なる参考人扱いであり、直接の口出しはできにくくなります。

 刑事訴訟は、公の利益(例えば再度同じような事件が起こり社会秩序を乱さないこと)を優先に犯罪者を裁く場であり、基本的に
 被害者救済のための訴訟ではありません。
     私が接した警察・検察は、最近の情勢/法改正などもあってか、被害者側の意見や要望にも、比較的耳を貸して
     くれたと思います。しかし、それも担当者次第。耳を貸すだけで、期待するほどの反応を示さない担当者もいましたし、
     「余計な口出しをするな」「私の考えと違う」などと、被害者の申し出や供述を拒絶・否定する担当者がいたのも事実です。


  <平成2年2月20日 最高裁判決>
  「犯罪の捜査及び検察官による公訴権の行使は、国家及び社会の秩序維持という公益を図るために行われるものであって、
  犯罪の被害者の被侵害利益ないし損害の回復を目的とするものではなく、また、告訴は、捜査機関に犯罪捜査の端緒を与え、
  検察官の職権発動を促すものにすぎないから、被害者又は告訴人が捜査又は公訴提起によって受ける利益は、公益上の
  見地に立って行われる捜査又は公訴の提起によって反射的にもたらされる事実上の利益にすぎず、法律上保護されたもの
  ではないというべきである。」


  刑事司法は公の秩序維持のみが目的であって、被害者のためのものでは決してない。
  自分のためにしてくれていると思い、或いは、そうあって欲しいと願うのは、被害者の大きな勘違い。
  上記の最高裁判決は、そう語っています。
  この大原則が存在する以上、極端な見方をすれば、
  刑事司法に関係するどのような「被害者保護」も、結局は「国家/行政の演出」にしか過ぎないのかもしれません。

  最高裁が、公訴・犯罪捜査自体を「間違っても被害者救済の為じゃない!」と断言している限り、捜査機関がどんなに
  被害者支援を声高にアピールしても、結局それは茶番に過ぎないのではないのか? そんな気がします。
  司法行政の被害者支援とは、人権を尊重するといったレベルの話であり、決して被害者「応援」ではありません。
  口出しが過ぎると、最後には「この捜査は貴方の為にやっているのじゃない、勘違いするな!」と一刀両断にされるのです。
  被害者支援などという、いかにも"被害者のための訴訟手続き” を連想させるような紛らわしい語句を用いず、
  初めから「"貴方のために" じゃありませんからね!」と言ってくれた方が潔い・・・ そんな気さえします。

  ※刑訴法改正で、かなり被害者に寄った訴訟システムに変化するかもしれませんが、ベースは変わらないと思います。
    なぜなら、それが、法治国家が国家として全てを取り仕切る刑事訴訟を、刑事訴訟として存在させることのできる最後の
    砦だとされているからです。昨今この点において、裁判員制度や、被害者の積極的公判参加を認める刑訴法改正への
    議論が熱く交わされています。
    被害者や、情に流されやすい一般人が、それほど食い込んでも良いものか?  そう言った議論が為されているわけです。
  


<民事訴訟>   

 もう一つは、被害者が負った損害を、主に金銭の支払いによって加害者に償って貰うことを求める民事訴訟です。
 主に被害者の訴えにより始められる裁判で、警察や検察の介入はなく、能動的に訴えない限り何も始まりません。
 ここでは被害者、加害者双方の言い分が 裁判の場で真っ向勝負 となります。
 刑事訴訟では、自動的に国の法律専門家(検事)が犯罪者(その弁護人)と闘いますが、民事訴訟は被害者本人が闘う必要が
 生じます。被害者本人が直接法廷に立って闘うこと(本人訴訟)も可能ですが、弁護士の助けを借りず闘い続けることは、かなり
 大変ですし、更に性犯罪に関する訴訟の場合、精神的負担は想像を絶するものがあります。
 加害者側は、あることないこと・・・ 被害者を侮辱するような弁論を、繰り返し行ってくる可能性が高いのです。
 個人的には、民事訴訟は弁護士を代理人として闘うべきだと考えます。



基本的に刑事訴訟と民事訴訟は別物で、単独で審理されます。それ故、刑事訴訟と民事訴訟の結果が異なる場合もあります。
しかし現実には全く無関係というわけでもなく、刑事裁判の動向や結果を鑑みて民事訴訟が進められることもあります。
犯罪被害者は、通常 刑事、民事 両方を闘うことになります。
場合によれば、民事訴訟は刑事訴訟の成り行き等を横目で見ながら起こす必要があるかも知れません。
※多くの場合、刑事訴訟が終わった後に民事訴訟を始めます。
  刑事訴訟で自供、または事実認定が為されれば、民事訴訟で改めて一から事件事実を争わなくても良くなるからです。




非公開、公の場での「話し合い調整」 − 調停について。
<調停>   

 調停は、民事紛争を家庭裁判所や簡易裁判所で、調停委員などが言わば「仲裁」して解決する方法です。
 裁判と大きく異なる点は、調停はあくまで話し合いでの双方歩み寄りによる解決を目指すものであり、強制力を伴う判決は
 ありません。話し合いがつかなければ調停は不成立となり、調停以前の状態に戻ります。
 調停員は素人の話でも真剣に耳を傾けてくれますので、敢えて弁護士に援助を依頼する必要はありません。
 調停が不成立になった後、改めて決着を付けるには、正式裁判(民事裁判)を選択することになります。

   ※審判申立により、拘束力のある判断を下す審判に移行する場合(家庭裁判所)や、裁判所の判断・権限により、正式裁判
    の判決に準じた「調停に代わる決定」を示されること(簡易裁判所)もありますが、ここでは詳しく述べません。


<調停と民事訴訟>   

 一般的に民事の争いは、調停→正式裁判という手順を踏むことになりますが、一部特定の案件を除いて必ずしも調停を経な
 ければいけないと言うことはありません。逆の言い方をすれば、調停(3回程度の話し合い)で決着が付きそうにもない案件は
 調停には不向きであり、「いきなり裁判」の方が実状に合っているとも言えます。
   ※離婚問題などは、必ず調停を通さなければいけない定めとなっています。
      調停は非公開&(比較的)穏便な解決方法ですから、離婚問題などに関しては、いきなり公の場で争い、問題を余計
      に
泥沼化させないためという意味合いが、これには含まれているようです。
        →「勝ち負けを争わない事案、争うべきではない事案」という認識に基づきます

性犯罪に関する紛争において、基本的な事実確認のレベルで双方の言い分が異なっている場合などでは、調停の選択肢は
ないと私は
考えます。調停を利用するのは・・・事実関係に大きな争いが無い場合で、「加害者が示した賠償内容では納得が
いかず、公の機関の判断を仰ぎたいが、できるだけ内密に、穏便に済ませたい」場合などに限られると思います



<参考> 家庭裁判所と簡易裁判所を、簡単に説明します

  
家庭裁判所: 家事事件(家庭・親族間の問題、男女関係など)、少年保護事件などを扱います。
            
調停、審判の2つの手続きがあり、調停から審判へ進む場合もあります。
             → 審判は地方裁判所の裁判と同等の扱いで、控訴審(第二審)は高等裁判所となります
              
※地方裁判所の裁判との最大の違いは、審判がプライバシーに配慮し、原則非公開であるという点です。
              ※<平成20年12月15日施行 改正少年法>
                 加害少年が12歳以上で殺人や業務上過失致死など被害者を死傷させた事件では、
                 家裁が
許可すれば被害者や遺族の傍聴が可能となりました。
                 (加害者が成人の場合は勿論、公開の刑事裁判の扱いとなります。)
                

  簡易裁判所: 比較的軽微な民事、刑事事件を扱います。
            調停、裁判の2つの手続きがあり、迅速・簡易(地方裁判所と比較して)に事件を処理します。
             → 刑事裁判は、地方裁判所の裁判と同等の扱いで、控訴審(第二審)は高等裁判所となります
                
民事裁判の控訴審(第二審)は地方裁判所となります
            
民事事件を迅速・簡易に処理するための特例規則が、民事訴訟法で定められています
             
例) 訴えや口頭弁論にあたり、書面準備を必須としないこと(口頭のみでも可)




 <重要ポイント! 刑事訴訟と調停・示談>   

 ■ 刑事訴訟と示談・調停   

   
加害者に対し、刑事裁判で厳罰を望む場合は決して調停(または示談)に応じてはダメです!
   示談に応じることは勿論ですが、調停に出頭することも「加害者の努力(誠意)で 調停という手段を用いて 示談交渉を進
   めている」と
裁判所に判断される可能性があるからです。そうなれば加害者の刑が減刑されるか、タイミングによれば刑事裁
   判自体が見送
られる可能性さえ出てくるかもしれません。加害者はあらゆる手段を講じて刑を免れようとしてきます。

     
<留意点>
      「公判、判決前だから示談する」という加害者も存在するわけで、厳刑を望んで刑事裁判で有罪判決が出たなら、加害
      
者側が意固地になり、「取れるものなら取って見ろ!」という風に豹変する可能性もゼロではありません。
      被害者の方それぞれの希望(落としどころ)、状況に応じて考慮に入れる必要があるかも知れません。

   
   刑事訴訟・民事訴訟など、公の場での決着を望まない場合、示談を選ぶというのも一つの選択肢です。


   ※加害者から調停申し立て?
     本来刑事訴訟は国家と被疑者(被告人)の争いであって、被害者が直接対決の場(公判)に出て争うものではありま
     せん。加害者が唯一「公の機関で、公にされず、正々堂々と被害者を ”引きずり出して” 話ができる」のが調停です。
     調停が原則非公開である点も加害者にとってはオイシイ部分で、もし調停で全てが収まるなら彼らにとってこれ以上の
     ことはありません。

     
それ故、加害者から調停を申し立てるなど一見理不尽・不可能なように思えますが、被害者が頑として示談に応じない
     などの場合、
ここぞとばかりに、加害者から「債務確認調停」などを起こしてくる場合があるのです。

     「これだけ支払うから見逃してくれ(これ以上は払わないぞ)」などの意思表示を加害者から示すことが、それらの申立の
     中身で、被害者と話し合いの場を作ることにより、刑事訴訟で刑を軽くしたりして貰うための最終手段とも言えます。
    
勿論、これらの訴えは加害者救済のためにあるのではなく、本来は被害者が法外な賠償要求をしている場合などに対す
     る、文字通りの適切な賠償確認の為の訴えです。
(「法外」「適切」という言葉はイメージとして捉えてください)
        私たちの場合は「男女関係円満解消」という、理不尽この上ない調停を申し立てられまし

   
※法律では、調停に出頭しないことは基本的に認められていません。
     5万円以下の過料を課せられるという定めもあります(実際に過料を課せられることは多くない模様ですが、状況次第?)。
        <民事調停法>
         第三十四条  裁判所又は調停委員会の呼出しを受けた事件の関係人が正当な事由がなく出頭しないときは、
                  裁判所は、五万円以下の過料に処する。

     出頭しない場合は、予め出頭しない理由を記した答弁書(出頭して意見を言う代わり)を提出する方がベターのようです。
     (答弁書本来の目的は、調停申立人の訴えに対する認否、または反論を文書化すること)

     なお、調停ではなく
民事訴訟においては 欠席(答弁書なし)=敗訴確定 となりますので、完全無視は御法度です。
     慎重に対応すること、弁護士などに相談・委任することが必要かと思います。

      加害者側の一方的、矛盾に満ちた、傍若無人とも言える調停申し立てに対しては、ご丁寧に答弁書を出すまでもなく
      「完全無視」も許容される範囲かもしれません。調停申し立ての全てが、正当な事由に基づく申立とは限りません。
      事実無根の申立や、それに類する申立が現実に存在するのです。それほど調停申し立ては、ある意味、簡単にでき
      るものですし、多少無茶な申立をしても、罰せられる危険性が少ないからです。
      その辺りの状況は、簡易/家庭裁判所も認識していると思われます。

      ただし、「過料に処する」という法律が現に存在しますので、慎重な対応が必要だと思います。




 
 <参考>調停申立による民事訴訟妨害?
    以下のような規則を悪用(?)して、民事訴訟を妨害してくることもあり得ますので注意が必要かもしれません

     家事審判規則<文中の法とは 家事審判法>
     第百三十条 調停の申立があった事件について訴訟が係属しているとき、又は法第十八条第二項若しくは第十九条の
              規定 により事件が調停に付されたときは、調停が終了するまで訴訟手続を中止することができる。

     民事調停規則<文中の法とは 民事調停法>
     第五条    調停の申立があった事件について訴訟が係争するとき、又は法第二十条第一項若しくは法第二十四条の
              二
第二項の規定により訴訟事件が調停に付されたときは、受訴裁判所は調停が終了するまで訴訟手続
              きを
中止することができる。ただし、訴訟事件について争点及び証拠の整理が完了した後において当事
              者の合意
がない場合は、この限りではない。



   
※「債務確認調停」及び、その他調停申し立てに対する対応 − 素人知識による私的意見(内容に責任は持てません)

      調停や裁判を開く際には「訴え(調停)の利益」が問われます。また、確認調停(訴訟)では「確認の利益」、状態形成
      の調停(訴訟)では「形成の利益」も問われます。「形成」とは、ある一定の状態を法的に作ることです。
          例)男女関係解消 → 男女関係があったものを「無くす」こと

      こういった場合の「利益」とは、国の財産(場所、人員)を使い、「調停や裁判を開いて紛争を短時間で解決する意義
      がある」ことを意味します。
      逆に言えば、国は、国家財産を使って無意味・無駄な調停・裁判は開かないということでもあります。

      事件に関わる当事者間の争いが、民事(賠償請求)に及んでいない段階での確認調停は、加害者側の訴権濫用に他
      ならず、確認の利益(賠償に関し公の場で”予め”確認しておく必要性)を決定的に欠くものと考えます。男女関係解消
      なる調停申立に対しては、元々その様な関係がない限り、改めて解消すべき対象が存在しないため「形成の利益」を
      決定的に欠くものと言えるでしょう。

      これらのような調停申立は、国家に無駄な浪費をさせる行為に他ならないと考えます。
      また、刑事訴訟で事件の真相を争っているような段階では「紛争の成熟性」にも疑問が残り、早急な解決を望むことさえ
      困難で、より「訴えの利益」を確認出来ないと理由づけすることもできると思います。

      従って、簡易裁判所に提出する答弁書にはそれらを欠席の理由として記載、提出すればいいのではないかと考えます。
      (下手に加害者側への反論、認否を記入するよりも訴求力があると思うのですが・・・)



 ■ 警察・検察と示談   

   加害者が起訴前に示談を求めるのは告訴取り下げを念頭に置いてのこと、また公判中に示談を求めるのは情状酌量を求め
   てのことと考えられます。

   起訴前の示談は、通常告訴取り下げと引換に行われるのが常です。それ故加害者は、相場より多めの賠償金額を被害者に
   示してくる場合が多いようです(相場=過去の判例などを参考にした、ある意味いい加減な基準)。
   
警察や検察は、捜査中・判決前の示談を嫌います。示談前提なら告訴自体受け付けないというのが基本姿勢です。
   いくら頑張って捜査しても、示談でそれまでの努力が全て無駄になってしまうことが理由の一つでしょう。また、示談金を上乗
   せする為の手段として被害者が「とりあえず」告訴したのなら、彼らも納得できないでしょう(だからといって捜査しないわけに
   はいきませんが)。
   
   
加害者に厳罰を求めるのならば、警察・検察に対し「絶対示談しない」旨伝えておいた方が良いかと思います。
   その方が彼らも真剣に捜査してくれると思います。私たちが思う以上に、彼らは示談に対し敏感です。
   犯罪者と「闘い切る」のであれば、損害賠償は示談や調停ではなく、民事訴訟という選択になります。

示談、調停、正式裁判の何れを選ぶかは被害者ご本人の選択ですが、加害者側の策略に乗せられない注意は必要です。

犯罪者側に弁護士などの専門家が付いている場合は、特に注意が必要です。