関連法 − 刑事訴訟法 

刑法が犯罪者を罰する諸規定を定めているのに対し、
刑事訴訟法(刑訴法)は、刑事訴訟を進める手順やその規定を定めています。

検察(被害者)は刑訴法に則って加害者を訴え、警察は捜査し、他方加害者は刑訴法に則って訴訟に対処することになります。

勿論、裁判所もこの法律に則って処理(公判)を進めなければなりません。
   
※民事訴訟では、民事訴訟法に基づいて訴訟手続きを進めることになります。


<関連する条文/告訴に関係する部分>   

第一編
第十五章 訴訟費用
 第百八十一条 
   刑の言渡をしたときは、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない。
   但し、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときは、この限りでない。

    
 ※刑事裁判に関し、「被害者の裁判費用負担はない」ということです。

第二編
第一章 捜査
 第百八十九条 
   警察官は、それぞれ、他の法律又は国家公安委員会若しくは都道府県公安委員会の定めるところにより、司法警察職員とし
   て職務を行う。
 2 司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。

 第百九十二条 
   検察官と都道府県公安委員会及び司法警察職員とは、捜査に関し、互に協力しなければならない。
 第百九十三条 
   検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、その捜査に関し、必要な一般的指示をすることができる。この場合
   における指示は、捜査を適正にし、その他公訴の遂行を全うするために必要な事項に関する一般的な準則を定めることに
   よつて行うものとする。
 2 検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、捜査の協力を求めるため必要な一般的指揮をすることができる。
 3 検察官は、自ら犯罪を捜査する場合において必要があるときは、司法警察職員を指揮して捜査の補助をさせることができる。
 4 前三項の場合において、司法警察職員は、検察官の指示又は指揮に従わなければならない。

     ※警察官(刑事)と検察官の関係が分かる条文です。
       検察官/エリート、警察官/現場 という意識関係もあるようで、ドラマで見るように決して仲良しではないのかも?

 第百九十五条 
   検察官及び検察事務官は、捜査のため必要があるときは、管轄区域外で職務を行うことができる。
     
※警察官と異なる点です。
       脱税や経済犯罪など高度な知能犯、警察官・政治家がらみの犯罪などは、検察主導で捜査が進められます。


 第百九十八条 
   検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り
   調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去す
   ることができる。
 2 前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
 3 被疑者の供述は、これを調書に録取することができる。
 4 前項の調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立をした
   ときは、その供述を調書に記載しなければならない。
 5 被疑者が、調書に誤のないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができる。
   但し、これを拒絶した場合は、この限りでない。
     ※取り調べに関し、被疑者(加害者)がかなり自由な立場にあることが記されています。
       捜査が長引く最大要因です。

 第二百三十条     
   犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。
 第二百三十一条 
   被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。
    
 ※被害者が未成年者の場合は、法定代理人(通常は親)が独立して告訴できるということになります。
 
2 被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、告訴をすることができる。但し、被害者の明示した意
   思に反することはできない。
 第二百三十二条 
   被害者の法定代理人が被疑者であるとき、被疑者の配偶者であるとき、又は被疑者の四親等内の血族若しくは三親等内の
   姻族であるときは、被害者の親族は、独立して告訴をすることができる。
     
※家庭内・親族内の犯罪であるとき、その他の親族が独立して告訴できることが書かれています。

 第二百三十五条 

   親告罪の告訴は、犯人を知つた日から六箇月を経過したときは、これをすることができない。
   ただし、次に掲げる告訴については、この限りでない。

  一 刑法第百七十六条から第百七十八条まで、第二百二十五条若しくは第二百二十七条第一項(第二百二十五条の罪を犯し
     た者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第三項の罪又はこれらの罪に係る未遂罪につき行う告訴
     
※強制猥褻罪・強姦罪については、その他親告罪と異なり、告訴に期限がないことを記しています。
     ※告訴期間は撤廃されましたが公訴期間(事件から公訴までの期限/いわゆる時効)は存在します。
       強姦罪は7年、強制わいせつ罪は5年です。 その時効寸前に告訴しても間に合わないことに注意が必要です。


 第二百三十七条 
   告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。

 2 告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。
 3 前二項の規定は、請求を待つて受理すべき事件についての請求についてこれを準用する。

     
示談の成立などにより一度告訴を取り下げると、二度と同じ事件に関し告訴できないことが書かれています。
       示談する場合は、よく考えてしないと、悔しい思いを残したままになるかも知れません。


 
第二百四十条 
   告訴は、代理人によりこれをすることができる。告訴の取消についても、同様である。
     ※告訴は弁護士などの代理人でもできると言うことです。

 第二百四十一条 
   告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。

 2 検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは、調書を作らなければならない。
 第二百四十二条 司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しな
   ければならない。

 第二百四十六条 
   司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事
   件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。

     ※被害者が告訴の意思を示した場合、警察官は速やかに検察に送らなければいけないとされています。
       それには、速やかに捜査することが必要となります。告訴が為されれば、警察はノンビリできないということですね。


<関連する条文/公判での犯罪被害者の権利保護に関する部分> 

 第二百九十二条の二  
   裁判所は、被害者又はその法定代理人(被害者が死亡した場合においては、その配偶者、
直系の親族又は兄弟姉妹。
   以下この条において「被害者等」という。)から、被害に関する心情その他の被告事件に
関する意見の陳述の申出があるとき
   は、公判期日において、その意見を陳述させるものとする。

    
 ※平成12年に改正・施行された部分です。
       従来は証人として質問に答えることしか許されなかった被害者も、法廷で自らの心情を述べることが出来ます。
       状態が許す限り活用すべきだと思います。国家対被告人の争い(刑事訴訟)の中で、被害者が意見を言える
       唯一の機会です。

 2 前項の規定による意見の陳述の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を
   付して、これを裁判所に通知するものとする。
    
 ※いきなり法廷で「一言言わせろ!」と言ってもダメということですね。
 3 裁判長又は陪席の裁判官は、被害者等が意見を陳述した後、その趣旨を明確にするため、当該被害者等に質問することが
   できる。
     ※言いっぱなしで済ましてくれるとは限らない・・・ 質問されることもあるようです。

 4 訴訟関係人は、被害者等が意見を陳述した後、その趣旨を明確にするため、裁判長に告げて、当該被害者等に質問すること
   ができる。
     ※被告人側から質問されることもあるということです。被害者からすると、これは不要ですが・・・。
 5 裁判長は、被害者等の意見の陳述又は訴訟関係人の被害者等に対する質問が既にした陳述若しくは質問と重複するとき、
   又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは、これを制限することができる。

 6 第百五十七条の二、第百五十七条の三及び第百五十七条の四第一項の規定は、第一項の規定による意見の陳述について
   準用する。
(下記該当条文の規定も、上記第一項の内容に準じて扱われます)
 7 裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、意見の陳述に代え意見を記載した書面を提出
   させ、又は意見の陳述をさせないことができる。
     
※事情によれば、書面で意見を述べることもできると言うことですが、
       直接意見陳述することが被害者に極度の緊張や悪影響(フラッシュバックなど)を与えると推定される場合、被害者遺族
       などで冷静な陳述が難しい場合などは「相当でないと認められるとき」に該当すると思われます。

 8 前項の規定により書面が提出された場合には、裁判長は、公判期日において、その旨を明らかにしなければならない。
   この場合において、裁判長は、相当と認めるときは、その書面を朗読し、又はその要旨を告げることができる。
     ※意見陳述の意志は、公判の1〜2週間前までに担当検事に伝えておく必要があります。
       口頭による陳述ではなく陳述書に因る場合、陳述書は公判内で検事から裁判官に渡され、
       裁判官が速読・・・ ポイント部分を読み上げるというスタイルを取ります。 − 経験者からの情報です。
           
意見陳述の中身は、
            ・ 公判で検事が明らかにする内容(事実)と重複しない「心情」を中心に述べる
            ・ 陳述中で同じ内容を繰り返さない
            ・ 裁判官に訴えると言うより、被告人に言い聞かせるような感じにする
            ・ 公判で争われている内容(罪状)を越えた、又は無関係な内容を入れない
           などの配慮が必要かと思います。例えば、強姦罪で争われている公判において致傷罪が省かれたことに
           対する不満などを述べることは御法度になると思われますし、口頭陳述の場合、裁判官から制止される
           可能性が大きいと思われます(上記第5項)。

 9 第一項の規定による陳述又は第七項の規定による書面は、犯罪事実の認定のための証拠とすることができない。
     ※どんなに訴えても犯罪の証拠としては扱われないと言うことですが、裁判は心証主義です。
       告訴状や調書に書かれない「被害者の心」を「裁判官の心」に訴えることは出来ると考えます。




 第百五十七条の二  
   裁判所は、証人を尋問する場合において、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、証人が著しく不安又は緊張を
   覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当で
   あり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるおそれ
   がないと認める者を、その証人の供述中、証人に付き添わせることができる。
     ※一言で言えば「カウンセラーなどの付添OK」です。当たり前の話ですが、ほんの少し前までは「不可」でした。
 2 前項の規定により証人に付き添うこととされた者は、その証人の供述中、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の
   供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。

 第百五十七条の三  
   裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、
   証人が被告人の面前(次条第一項に規定する方法による場合を含む。)において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を
   著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、
   被告人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることが
   できる。ただし、被告人から証人の状態を認識することができないようにするための措置については、弁護人が出頭している
   場合に限り、採ることができる。
     ※パネルなどの遮へい物を用いて、被告人(加害者)から被害者が見えないようにして貰うことができます。
 2 裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、名誉に対する影響その他の事情を考慮し、
   相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、傍聴人とその証人との間で、相互に相手の状態を認識す
   ることができないようにするための措置を採ることができる。
     ※傍聴に来ている被告人(加害者)関係者とも顔を合わさず済むように、遮へい物を置いて貰うこともできます。

 第百五十七条の四  裁判所は、次に掲げる者を証人として尋問する場合において、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は
   弁護人の意見を聴き、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所以外の場所(これらの者が在席する場所
   と同一の構内に限る。)にその証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが
   できる方法によつて、尋問することができる。<以下略>

     第百五十七条の三 の措置でも、被害者の不安などが十分に払拭されない場合は、法廷と別室をテレビモニターを使って
       
結び、法廷外から証言できるようにして貰えることができます(ビデオリンクと言います)。
       しかし、この設備が全ての裁判所にあるかどうかは不明です。